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ほとほとと となりのとびらを 敲くおと あめふる夜の 聰しきみみに
<読み>
ほとほとと となりのとびらを たたくおと あめふるよるの さとしきみみに
<意味>
とんとんと隣家の扉をたたく音 [が聴こえる] 雨夜で冴えている耳に。
<解説>
梅雨 (East Asian Rainy Season In Japan) である。
とは、前回も綴った。その叙景、しかも夜間である。
歌の真意は、隣家には訪問者が顕れるのに、自身を訪ねる人物がいない。すなわち孤独をうたったモノである。そして、聴こえるのは、たたかれている扉の音だけではない。雨音も勿論ある。しかし、作者にとっては [想像上の事ではあるだろうが] 隣家での団欒等が聴こえているのであろう。
上句には、「ほとほとと」、「となりのとびらを」、「敲くおと」と、"と"の発音が何度も繰り返されている。それが、第3句「敲くおと」と第4句「あめふる夜の」、このふたつの音源の存在を呈示している。