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ゆきづりの をのこのかくしに 其をみとむ くろく濁れて 血にぬれし
<読み>
ゆきずりの おのこのかくしに そをみとむ くろくにごれて ちにぬれし
<意味>
かりそめの男性のポケットにそれを認めた。黒く濁って血に濡れた [モノを]。
<解説>
何故、そんなものを発見したのだろうか、と考え出すと、初句「ゆきずり」の意味を糺すたくなる。
この語句の第1義である"通りすがり"と謂う意味ではないだろう、と。1夜を共にしたのだろうと勘繰りこそする必要はないだろうが、最低限の接触と交流は、このふたりにはあったのだろう。
下句は、第3句「其」[文法的には中称指示代名詞] の説明ないし形容であり、技巧的には倒置法となっている。と、同時に結句「ぬれし」は、ラ行下二段活用"濡る"連用形 + 過去助動詞"き"連体形である事から、体言止めでもある [よって解釈する場合は、<意味>の様に何らかの体言を補う必要がある]。
そして、では第3句「其」とは具体的にはなんなのだろうと妄想すると、幾つもの物体にその可能性はある。