<画像:20220922.jpg>
紐とくに くちにひと指 とおりやんせ 枕とうはるか よ汽車のわたる
<読み>
ひもとくに くちにひとゆび とおりゃんせ ちんとうはるか よぎしゃのわたる
<意味>
[夜着の] 紐をとく際に、口許に1指をあてて、通りゃんせ [を歌うと] 枕頭の遥か向こうで夜汽車が
渡って行く [音が聴こえる]。
<解説>
一夜の閨事の光景。第2句「くちのひと指」は沈黙の合図、もしくはそれを要求するモノ、第3句「とおりやんせ」と結句「夜汽車」は実際の発言もしくは叙景と謂うよりも、交合の類推 (Analogy) であるかと思われる。
初句「紐とくに」は、"繙くに"との掛詞の様な気がしないでもないが、それを前提としてこの歌を解釈するには、もう少し、叙景に関する情報、例えばこの歌は実際の体験ではなくある書物での記述から派生したモノであると謂う様な、が欲しいところではある [つまり、現時点ではちょっと無理がある]。