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帷をり たつたひとりは いつはつる けふのしのぎと かへすべきかね
るい詠める
<読み>
とばりおり たったひとりは いつはつる きょうのしのぎと かえすべきかね
<意味>
夜になり たったひとり [で過ごす夜は] いつ終わるのだろうか。今日のしのぎと返すべき借金 [を考えると]。
<解説>
上句に関しては、ふたとおりの解釈があり得ると思う。ひとつは、今夜がいつ明けるのだろうかと謂う自問、もうひとつは今夜の様な孤独な夜はいつまで続くのだろうかと謂う自問である。どちらの方が相応しいのだろうか。
そして、考えるべきはそれを受けての下句の解釈である。文意から考えるに、第4句「けふのしのぎ」だけでは結句「かへすべきかね」は追いついてはいない。つまり、いずれ来る支出に対して収入が対応しきれない。そんな状況だ。
それを考慮しての上句の解釈は、前者の場合はいつまでも明けないで欲しいと謂うモノになりそうだし、後者の場合はこの窮状を救う人物の登場を待ち焦がれている [と、謂ってもその可能性は殆どないのだろうが] つまり、早く今夜が終わって欲しいと謂うモノになりそうだ。
勿論、そんな単純な二項対立ではないだろう。もっと複雑な心象がそこにはある。