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そのひとに ひとみみつめて 語りしを 抱けもせずて 逃ぐることの葉
<読み>
そのひとに ひとみみつめて かたりしを いだけもせずて にぐることのは
<意味>
その人に向けて瞳をみつめて語っていても、抱く事もしないで逃げる言葉 [が語られる]。
<解説>
第4句「抱けもせずて」は、カ行下二段動詞"抱く"連用形 + 係助詞"も + サ行変格活用動詞"す"未然形 + 打消接続助詞"ずて"である。この歌ではこれらの語句を受ける用言が省略されているが、受けるべき用言は係結びの法則により、連体形となる。
結句「逃ぐることの葉」は、上の様に、初句「そのひと」から発せられる言葉、所謂逃げ口上として解釈したが、「ことの葉」そのものが"逃げていく"と解釈出来なくもない。