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駅とふは さかまくうづに ひとの浪 波たふのきわに ひと待つ吾は
<読み>
えきとうは さかまくうずに ひとのなみ はとうのきわに ひとまつわれは
<意味>
駅頭は [あたかも] さかまく渦となった人の波 [が打ち寄せる様である]。波濤が [打ち寄せる] 際である人を待っている私は [人酔いになる]。
<解説>
師走の光景。そして随分と忘れてしまっていた光景でもあろう。
詞書にある人酔い (Anthropophobia) の様な症状は、かつて罹患した事がある。その朝、ちょうど通勤時間の事である。大量の人々が駅から押し出される様に地下街を勤務先に向かっていくなか、そのみちを駅へと向かっていたのである。押し返されかと思った。そして、改札を通過した瞬間に、悪寒 (Chill) がした。たちくらみ (Lightheadedness) めいたモノもあったかもしれない。そんな体験を思い出す。
蛇足ではあるが、第3句にある「ひと」と結句にある人は、全く異なるモノである。英語で謂えば、前者は不特定多数をさす"ゼイ (They)"にあたり、後者は特定の人物をさす"ヒィ (He)"にあたる。