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哭きあふて 闇にひそみし くろ豹が 吾ひとりのみ まつと云ふ
<読み>
なきあって やみにひそみし くろひょうが われひとりのみ まつという
<意味>
哭きあいながら、闇の中に潜んでいる黒豹がわたしだけを待っていると謂う。
<解説>
この歌に登場する第3句「くろ豹」は比喩なのか、それとも現実に存在する生物なのか、実はその点はあまり問題にはならないと思う。
初句「哭きあふて」の解釈は2通りあると思う。そちらの方が重要だ。
ひとつは、黒豹 (Black Panther) と作者自身が哭きあっていると謂うモノ。この場合は、求愛を意味するだろう。
いまひとつは第2句「闇」に複数の黒豹 (Black Panther) が潜んでいて、彼等が哭きあっていると謂うモノ。その場合の「哭きあふて」いるその声は、所謂よがり声であろう。
どちらの解釈も成立するとは思う。思うが、何れを採用するかによって、下句の解釈に変動を及ぼす可能性はある。前者ならば、その後に起こるであろう現象は予想がつくが、後者ならば、現時点での黒豹 (Black Panther) の相手と作者が対面する可能性があるからだ。そこで争闘が起こらないとは限らない。