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冬はつる うば捨てやまに せを向けて みなみにむかはう しに逝くちちと
<読み>
ふゆはつる うばすてやまに せをむけて みなみにむかおう しにゆくちちと
<意味>
冬が終わった。姥捨山にうしろをみせて南下しよう、死のうとしている父親と。
<解説>
結句「しに逝く父」の、実際の健康状態をどう捉えるかで、歌の解釈は様変わりする様におもえる。
第2句「せを向けて」は、物理的に自身の背面をみせる、そこから離れると謂う意味もあれば、心理的にその意図に背く、拒絶すると謂う意味がある。いずれにも解釈出来よう。
そして勿論、第3句「うば捨てやま」も、その様な謂れのある山地とも、その機能を持つ環境もしくは装置とも、解釈出来よう。
それらを前提として、第4句「みなみにむかはう」をどう理解するのか、出来るのかと考えねばならないのではないか。