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ふゆの雨 もぬけのからの 箪笥かな 泪ひとすじ のこすことなく
<読み>
ふゆのあめ もぬけのからの たんすかな なみだひとすじ のこすことなく
<意味>
冬の雨が降っている日に、空っぽの箪笥があるのだなぁ。泪一筋も残されていない。
<解説>
所謂、引越しではない。また、夜逃げと謂う経済上の要求でもないだろう。
恐らく、その部屋にあるのは箪笥1棹だけなのだ。そして、置き手紙ひとつ遺されてもいないのだ。
遺された人物にとっては、この状況は意外でかつ突発的な事件なのだろうが、去った人物にとってはかねてからの懸案を実行したのみだ。その落差が今、この歌に顕れている光景とその反映である心象を現出させている。