<画像:20240404.jpg>
棺には 母のかはりに 逝くむすめ たれに捧ぐや 薔薇のいちりん
<読み>
ひつぎには ははのかわりに いくむすめ たれにささぐや ばらのいちりん
<意味>
棺の中に [ねむるのは] 母親の代わりに亡くなったその娘である。誰に捧げるのだろう、1輪の薔薇がある。
<解説>
その娘は母親を助けようとして身代わりとなって死んだのか。それとも全く異なる事情なのだろうか。それは歌からは解らない。
結句「薔薇のいちりん」は故人の為に、葬儀の場に添えられているのだろうか、それとも、彼女の死亡時に掌にしていたモノだろうか。そのいずれかなりやが解決すれば、死亡時の状況も判明するだろうが。
単純に考えれば、第4句「たれに捧ぐや」と謂う疑問に関しても、その状況が解れば解決するのだろう。それとも、もう少し、否、もっと、込み入った原因がそこに介在しているのだろうか。
それら一切が歌では言及されてないが故に、謎ばかりがひっそりと佇んでいるのだ。