<画像:20240418.jpg>
つゆのまへ ひようほん函で われの逝く そらを喪ひ きみの眼をみて
<読み>
つゆのまえ ひょうほんばこで われのゆく そらをうしない きみのめをみて
<意味>
梅雨の季節が来る前に標本箱の中でわたしは死んでゆく。空を [とぶ自由を] 喪ってあなたの眼をみながら。
<解説>
詞書を前提とすれば、昆虫 (Insect) かなにかに変身した自身が、恋人の採集 (Insect Collecting) 対象のひとつとして捕虫されて、標本箱 (Specimen Case) に収納された、そんな夢をみた、と謂う事なのだろうか。
初句「つゆのまへ」とは、今の季節を意味すると同時に、昆虫 (Insect) である作者にとって具体的な意味がある時季なのだろう。羽化 (Emergence) 直後、もしくは交尾 (Copulation) の季節なのかもしれない。にも関わらずに、採集 (Insect Collecting) されてしまった、そんな意味なのだろうか。
下句にあるのは、自身の自由を略奪されたその代償として、愛する視線を独占した、そんな自負とも読めるが、その時、本人自身は既に絶命しているのである。