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丑のこく ぽとりとをちて くすり指 はく布のうへで しずかに滲む
るい詠める
<読み>
うしのこく ぽとりとおちて くすりゆび はくふのうえで しずかににじむ
<意味>
深夜2時頃にぽとりと墜ちた薬指は白布の上で静かに血が滲んでいる
<解説>
歌を素直に解釈すると<意味>の様になる。だけれども、第2句「ぽとりとをちた」のは、第3句「くすり指」なのだろうか。もしかすると、ほかの部位かもしれない。しかも、それが誰のものだかも不確かだ。
と、同様に結句「しずかに滲む」のは、その部位から出血している鮮血ではある筈なのだが、これもはっきりとはしない。
だから歌に詠まれている情景は、<意味>上では恐怖譚、怪奇譚の様ではあると信ぜられるのだが、上に綴った疑義を前提にすると、これもまた判然とはしないのだ。
閨時での叙景を象徴的に語ったモノと謂う可能性は、果たしてあるのだろうか。