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わく溺の 堤をきりし 処女かな 星のひとつに かさぬる夜に
<読み>
わくできの つつみをきりし おとめかな ほしのひとつに かさぬるよるに
<意味>
判断力を喪って堤をきった処女なのだろうなあ。星がひとつに重なった夜に [その様な事をするのは]。
<解説>
第2句「堤をきりし」には、2通りの意味がある。ひとつは物理的に堤防が決壊する事であり、もうひとつは心理的に感情が決壊する事である。この歌の場合、いずれでも該当しそうである。
また、初句「わく溺の」の "溺" と謂う文字が、第2句「堤をきりし」の "堤" に呼応している様にもみえる。
下句にある叙景は、映画『2001年宇宙の旅 (2001 : A Space Odyssey)』 [スタンリー・キューブリック (Stanley Kubrick) 監督作品 1968年制作] にある、太陽 (The Sun) と月 (The Moon) と地球 (The Earth) が一直線に並ぶ (Lining Up) 情景、日蝕 (Solar Eclipse) ・月蝕 (Lunar Eclipse) とも考えられるし、さもなければ、二連星 (Binary Star) や二重星 (Double Star) とも考えられる。いずれの場合も古来から吉凶や豊作不作等が取沙汰される現象であり、その現象が上句の行為を促すのだろうか、と考えられなくもない。
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