<画像:20240905.jpg>
そぼろ降る 駅のむかうに らく魄の かつては美じよと しりていま也
<読み>
そぼろふる えきのむこうに らくはくの かつては美女と しりていまなり
<意味>
小降りの雨がふる駅の向こうに落魄のその人物はかつては美女だったと知って今がある
<解説>
例えば、小野小町九相図 (Kusozu : Nine stages Of decay Of Ono No omachi)』 [作者不詳 制作年不詳 住蓮山安楽寺 (Anrakuji) 所蔵] である。尤も、歌の題材であるその人物は生存しているとは思われるが。いずれにしろかつての栄華や美貌とは無縁の境遇や容姿とはなっているのであろう。しかも、初句から第2句にかけて描写された叙景の寂寥から、その様子はより強調される。
ただ気になるのは結句「しりて今也」であって、そんな叙景にある人物になんらかの変化が訪れつつある様な気がしなくもない。