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夜きたる 毀れしまちに 忽ねんと 盲ひのひとり 灯りかかげぬ
<読み>
よるきたる こわれしまちに こつねんと めしいのひとり あかりかかげぬ
<意味>
夜となった。破壊された街に突然に。盲人のひとりが灯火を掲げている。
<解説>
解釈すべきは下句である。盲人自身にとっては不要の結句「灯り」を掲げているのだ。それは現実に存在する照明である場合もあり得るし、そうではない、その語句に象徴される指針もしくは方向性の場合もあるだろう。そして留意すべきは、なによりも、それを掲げた本人がそれを認知出来ないと謂う点だ。つまり、その結句「灯り」が、みるべきもの、みたいものを照らし出しているとは限らない、と謂う事である。
にも関わらずに、数多くの人々はそれを求め、それに従う可能性は充分にある。何故ならば、そこがなんらかの理由によって第2句「毀れしまち」だからだ。