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たれもゐぬ 月かげさやかの 嶋のすに いつしまとわぬ そのひとのな
<読み>
だれもいぬ つきかげさやかの しまのすで いっしまとわぬ そのひとのな
<意味>
誰もいない澄んだ月光がさしている島の洲で、一糸纏わないその人の名 [を呼ぶ]。
<解説>
幻想的な光景で、それが描く心地に酔い痴れてはみたくはなるが、謎がいくつかある。
先ずひとつは結句「そのひとのな」が体言止めであり、それを受ける述部を補わなければ歌全体の意味が不明となる、と謂う点がある
そしてもうひとつは、第4句「いつしまとわぬ」が、"いつしまとわず" ならば、この歌を詠んだ自身の事である。だが、第4句をそのまま素直に解釈すれば、それは結句「そのひと」の形容となる。この差異によって、歌が描く叙景は様変わりする。