降りそうでいっかな降リ出そうとしない夜を一人、家路を急ぐ。季節の変わり目特有の生暖かい風が、さらにわたしを憂鬱にさせる。変わったばかりの信号を渡り始めようとした途端、騒々しくさせるのが唯一の仕事だといわんばかりに、サイレンとやけにかん高くスピーカーからの怒声を響かせて、何台ものパトカーが走り抜けていく。これでまたもう一度信号待ちだという舌打ちと、ほんの一瞬の野次馬根性を覗かせる彼らは、きっと恋人どうしなんだろう。
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