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ヘレン・メリル(HELEN MERRILL)御本人はこのジャケット写真大ッ嫌いだそうだけれども、そりゃそうだよね。当時25才の女性的には、この眉間に皺が寄った顔のアップはちょっと耐えられないかも? それに彼女のヴォーカル・スタイルはホーン・ライクという表現が使われる程。クールで知的(悪く言えば情感不足)な唱法で、ひと呼んで「ニューヨークの溜息」。ちょっと意趣ちがいかもしれません。
勿論、ジャズ・ヴォーカルのジャケットという文脈では、美しい構図である事には間違いがありません。手前に配したヴォーカル・マイクに副ってスクエアにレイアウトされたシンガーの名前と収録楽曲のコンポジションは素直に端正であると言いたい。
ジャズ・アルバムとしても、ヴォーカル・アルバムとしても名盤中の名盤と支持されている作品だから、御存じの方にとっては耳タコかもしれないから、そういうヒトは黙っているか、ここで読むのを辞めて下さい。
この作品の聴き方は、三通りあります。言い方を変えれば、この作品には三人の主人公がいます。