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三本の頸に、一対の翼、ニ本の尾。そしてそれらは黄金の鱗に覆われて、全身は金色に光り輝く。
その特異な形態よりも、キングギドラ(King Ghidorah)が美しいのは、『ゴジラvsビオランテ<画像:>』の脚本を担当した小林晋一郎が『形態学的怪獣論<画像:>』で語っている様にバランス感覚に優れた形態をしているからだ。しかも、彼の身体をどこから眺めても完全な球形を成していて、彼のすべての動態が三次元的な円運動を成している。
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正面から彼を観れば、左右に大きく拡がる金色の翼とニ本の野太い脚が半円下方を形成して、その延長線上にある上円周縁を、自由に乱舞する三本の頸が描く。
側面から彼を観れば、重量感溢れる寸胴が円弧の下方を描き、振仰いだ翼がその対称の円弧を担う。そして、振り回される二本の尾と対になって、三本の頸の動きが、残りの円弧を補完して、ここに完全な円が完成する。
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(下方からふり仰ぐのも)そして遥か上空から見下ろすも同じ事。ほぼ全身を巨大な一対の翼が覆い隠して円周を形成して、間断なく動き回る頸が遺された円弧を補完する。
そして、対になった翼同士の動き、振り回される金色の尾、敵を補足し追撃の反重力光線を吐きかける三本の頸、各々がみっつの異なった円運動を形成する。
幼い頃、スクリーンを破って登場して、映画館を破壊する彼の姿を何度も幻視しました。