<画像>
馬鹿野郎 雨よりもなお 降りしきる ふたつの手にて 傘を持つのみ
<読み>
ばかやろう あめよりもなお ふりしきる ふたつのてにて かさをもつのみ
<意味>
馬鹿野郎と思わず口を衝いて出てきた言葉が、雨よりもなお激しい(涙を)降らせる。わたしはただ、両手で傘を支えることしか出来ない。
<解説>
作者は、恋人と喧嘩して雨の降る中、外に飛び出してしまったのだろうか? 怒りと、そしてもしかしたら悲しみとが、作者の口から思いがけない言葉を発っせさせる。「馬鹿野郎」 その言葉に驚き、涙が、雨よりも激しく溢れ出す。その事実が、作者を茫然とさせる。涙を拭う事もままならず、ただその場に立ちつくすだけである。作者の「静か」な佇まいと、「激しい」内面との対比が美しい。