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濡れて帰る 冬降る雨の やさしさよ 流れておちて 泪とならん
<読み>
ぬれてかえる ふゆふるあめの やさしさよ ながれておちて なみだとならん
<意味>
冬の雨が、濡れて帰宅するわたしを流れておちて、涙となっている。なんと、雨のやさしい事だろう。
<解説>
「いっそ、涙が溢れ出てくれればいいのに」と、いう台詞を誰かのどこかの、小説かマンガで読んだ事がある。己の内心に封じ込められた感情の、向かうべきところや向ける手立てが、見出せないとき、それは、とても苦しいものだ。
だから、作者の様に、己が流す涙(それは感情の捌け口とでも言うべきものだ)の代替が現れた際は、ほんの少しでも救わた気持ちになるのかもしれない。但し、それが冷たい冬の雨というところが、内心の痛々しい感情を吐露している様だ。