<画像>
夕暮れて 流るる水面に 夢託し 黒き蝶蛾 飛び立ちぬるか
<読み>
ゆうぐれて ながるるみなもに ゆめたくし くろきちょうが とびたちぬるか
<意味>
夕暮れになると、流れ行く川の流れに夢を託して、黒い蝶や黒い蛾が飛び立ってしまったのだろうか。
<解説>
日中の暑さが和らぐ夕暮れに、川の水の流れを観ていると、ついもの想いにふけってしまう。そんなとき、黒い蝶や蛾が飛び立って行くのを発見した作者は、彼らに様々な想いを託してみようと思う。蝶や蛾は既に飛び立ってしまった。その一方で日常に疲れた己がここにいる。ふと、もの思いにふけってしまう、そんな誰にでもある経験を詠み込んだ歌である。
<参考>
●メランコリー型性格 Typus melancholicus
●デューラーの「メランコリア