2005年07月30日
『エラ・アンド・ルイ (Ella and Louis)』
前回がモノクロ写真のバスト・ショットだったから、今回はカラーの集合写真をフィーチャーした作品にしようと思い立ったものの、さすがに『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を描く気力も知力も体力も集中力も技術力もないから、今回はこの作品にしました(二人ならば大丈夫だろうって!?)。
エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)とルイ・アームストロング(Louis Armstrong)のデュエット・アルバム、その名も『エラ・アンド・ルイ(Ella and Louis)』。
エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)もルイ・アームストロング(Louis Armstrong)も、星の数程の名盤・名唱がある中で、何故この作品なのか? 演奏を担当しているのが、サンボマスターの山口隆も大好きな?オスカー・ピーターソン(Oscar Peterson)・トリオ[他の二人はハーブ・エリス(Herb Ellis)とレイ・ブラウン(Ray Brown)]に加えてバディ・リッチ(Buddy Rich)といった、熟練の士だからか?
ちがいますってキッパリ断言出来る自信はないけれども、ホントの理由は他にあります。
余談ですけれども、やっぱり僕も『ミュージック・ステーション』に初登場した彼らを観たんだけれども、その時の山口隆がタモリに語りかける、その内容にびっくらこいたのでした。
ジャケット写真の、二人の佇まいが気に入いっているからであります。
ジャズ界の大スターでありながら、まるで、永年連れ添った夫婦のスナップショットの様なそれは、観るものに、ほのぼののとしたあたたかいものを印象づける。
グラント・ウッド(Grant Wood)に『アメリカン・ゴシック』という絵画作品があるのだけれども、その作品に描かれている老夫婦の姿が米中産階級の普遍的な肖像(かたや日本の老夫婦というとこれですよね?)と認識されているだけに、様々なパロディ作品がつくられている(Googleで”グラント・ウッド アメリカン・ゴシック”をイメージ検索すると、オリジナル作品の画像に混じって、こんなにたくさんのパロディ作品を発見出来ます)。このジャケット写真はちょっとそれっぽい印象(アフリカン・アメリカンの労働者階級夫婦?)を引き摺りながらも、新しいメッセージを伝えてくれる。
まるで蚤の夫婦の様な(といってしまうとお二人には大変失礼なのですが)、この写真が気に入ったヒトは、是非、聴いてみて下さいね。
錚々たるメンツが一堂に会したとはいっても、そこにあるのは超絶的テクニックの応酬でもなければ、時代を創る革新的な手法でもない。ただただ、アットホームな雰囲気で、そこに集う彼らのお気に入りのナンバーを奏でているだけ。でも、それが如何に難しい事なのかは、クリエイティブに携わ(ろうとし)た事のある方なら、理解出来るでしょう(すでに使い古された感のある、「癒し」とかいったリスナーに媚びるだけが目的の表現方法は簡単だけれどもね)。
この写真を撮影したのは、フィル・スターン(Phil Stern)、第二次世界大戦の従軍カメラマンからキャリアをスタートさせて主に雑誌『LIFE』 を活動の場にしていた様です。
ちなみに”Phil Stern”をGoogleでイメージ検索するとあんな写真やこんな写真が登場するけれども、ジェームス・ディーン( James Dean)が、映画『大人は判ってくれない』(監督:フランソワ・トリュフォー)の主人公アントワーヌ・ドワネルしている写真のユーモア感(ジェームスがアントワーヌ云々は、ちょっと説明不足なんで、この文章を読んで頭の中に?が浮かんだヒトはここで紹介されている『大人は判ってくれない』のポスターとこの写真を観比べて下さいね)とかは、本作品のジャケット写真に相通ずるものがあります。
彼の作品に興味が湧いた方は、こちらでさくっと代表作を観る事が出来ますよ。
ものづくし(click in the world!) 14.:
ELLA AND LOUIS Ella Fitzgerald - Louis Armstrong
ELLA AND LOUIS Ella Fitzgerald - Louis Armstrong
邦題(作者クレジット)/オリジナルタイトル(作者クレジット)
1.お友達になれない?(作詞:ポール・ジェームス 作曲:ケイ・スウィフト)
CAN'T WE BE FRIENDS(Swift/James)
2.イズント・ジス・ア・ラヴリー・デイ(作詞作曲:ア−ヴィング・バーリン)
ISN'T THIS A LOVELY DAY(Berlin)
3.ヴァーモントの月(作詞:ジョン・ブラックバーン 作曲:カール・スースドーフ)
MOONLIGHT IN VERMONT(Suessdorf/Blackburn)
4.誰も奪えぬこの思い(作詞:アイラ・ガーシュウィン 作曲:ジョージ・ガーシュウィン)
THEY CAN'T TAKE THAT AWAY FROM ME(G. & I. Gershwin)
5.青空の下で(作詞:マーティン・シムズ&アル・J・ネイバーグ 作曲:ジェリー・リヴィングストン)
UNDER A BLANKET OF BLUE(Neiburg/Symes/Livingston)
6.テンダリー(作詞:ジャック・ローレンス 作曲:ウォルター・グロス)
TENDERLY(Gross/Lawrence)
7.霧深き日(作詞:アイラ・ガーシュウィン 作曲:ジョージ・ガーシュウィン)
A FOGGY DAY(G. & I. Gershwin)
8.アラバマに星落ちて(作詞:ミッチェル・パリッシュ 作曲:フランク・パーキンス)
STARS FELL ON ALABAMA(Parish/Perkins)
9.チーク・トゥ・チーク(作詞作曲:ア−ヴィング・バーリン)
CHEEK TO CHEEK(Berlin)
10.あなたのそばに(作詞:ネッド・ワシントン 作曲:ホーギー・カーマイケル)
THE NEARNESS OF YOU(Carmichael/Washington)
11.エイプリル・イン・パリ(作詞:エドガー・Y・ハーバーグ 作曲:ヴァーノン・デューク)
APRIL IN PARIS(Herburg/Duke)
パーソネル:
エラ・フィッツジェラルド/Ella Fitzgerald:(vo)
ルイ・アームストロング/Louis Armstrong:(tp,vo)
オスカー・ピーターソン/Oscar Peterson:(p)
ハーブ・エリス/Herb Ellis:(g)
レイ・ブラウン/Ray Brown:(b)
バディ・リッチ/Buddy Rich:(ds)
1956年、ロスアンゼルスロサンジェルス録音/Recorded:LA,August 16,1956
プロデュース:ノーマン・グランツ/Produced by Norman Grantz
カヴァー写真撮影:フィル・スターン/Cover Photo:Phil Stern
ちなみに僕の持っている紙ジャケットCDの解説は青木啓氏が担当されています。
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