2005年08月10日
これもまた悪い夢の続き 02.
ながい夜があける前にみる、その夢の続きは果てしない。
今日はこれまで住んでいたアパートがまるごと新しい土地と建物に引っ越す日なのだけれども僕の帰国はどうやら間に合いそうもない。一応全ての段取りは出発前に済ませて万事滞りなく隣に住む(随分前からそしてこれからしばらく先も)彼に委ねたから心配する必要はない筈だ。
と一生懸命自身に言い聞かせても募る不安は打ち消す事は出来ない。何故なら帰国した僕は一体どこへ帰ったら良いのか実は全く判らないのだ。それは新居も見ずに旅立たねばならなかったからにほかならない。
ながいながい河を渡る。風が酷く吹きつけるから僕達はびしょ濡れだ。船に供えつけの大きな蒼い毛布にくるまってむこう岸に辿り着くのをただ待つのみ。空はどんよりと暗く船の前にも後ろにも岸は見えない。船長が御機嫌に口笛を吹いているその姿を信じるだけである。
新居に辿り着いたらそこは祝祭と戦闘が入り交じった大混乱状態で誰も僕を構ってくれない。満艦飾に万国旗にブラスバンド。白い大きなテーブルの上には銀色に輝く食器がずらり。前庭を通り過ぎて階段を上がる。玄関は2階から。扉を開けて眼下に広がる新しい我が家を観わたす。地下に続く長い階段が部屋の中央を占めている。考えなければならない事は色々あるけれども今日は疲れた。最下層にあるベッドに潜り込み旅先で入手した大きな蒼い毛布にくるまって夢を貪る。
旅の結果報告をする為に出社する。出社するなり今夜は決算報告を兼ねたディナーだからそれに出席せよとの上司からの指示であります。それまでは手持ち無沙汰だなぁと思ってデスク周りでうたた寝しているとS嬢に起こされる。今会社にいるのはこの二人だけで早く会場に行かなければならないと言う。今夜の仕切りに関してはまるっきり知らされていないからしかたなく彼女について行く。
電車をいくつか乗り継いでその会場とやらに向かう。Y駅で降りる。いつも見知っている駅なのにあたりの風景は全く観た事がない様相を呈していて僕は困り果ててしまう。S嬢は屈託なく降りた改札が違うからだろうと笑う。彼女が笑う顔は初めて観た。僕も笑おう。
会場に着く。巨大な中華風の豪邸。そこに長い長い行列が吸い込まれている。この列に並ぶのかとうんざりしているとこっちよとS嬢に手を引っ張られる。状況はよくわからないけれどもそれは助かる。要領を得ない僕は彼女の指事に従うしかないのだから。
広い廊下をいくつも抜けると大きな急勾配の下り階段の前に出る。その大きな急勾配の下り階段にはまるでスタジアムでスポーツ観戦している様に多くの人々がぎっしりと隙間なく座り込んでいる。何かをじっと待っている様だ。僕達は転がり落ちる様にその急勾配を降りて行く。どこまでもどこまでも落ちる様に降りついたその先は大雪原だった。空ははてしなく蒼い。
posted =oyo= : 23:47 | comment (0) | trackBack (0) | たいの日記
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