2005年08月29日
『アウト・オブ・ザ・クール』 by ギル・エヴァンス (OUT OF THE COOL by THE GIL EVANS ORCHESTRA ) 前篇
今月はふふふ、エヴァンス(Evans)。
エヴァンスならばビル(Bill)という声もおありでしょうが、今回はギル(Gil)の方。いずれそのうち、ビル(Bill)も登場する機会があるでしょう。勿論、ビル(Bill)といったら、ピアニストの方。ギル(Gil)つながりで言えばサックス・プレイヤーの方なんだろうけれどもねぇ〜。
ところで、今回の主人公ギル・エヴァンス(Gil Evans)ってどの程度の知名度があるんでしょうか? 勿論ジャズ・ファンは知って入るだろうけれども。例えば、このブログでよくお世話になっているウィキペディアでは、ビル(Bill)はいるけれども、ギル(Gil)はいません[ちなみにビル(Bill)はここにいます]。
なので、非常におおざっぱな説明をまずはここでしましょう。
マイルス・デイビス(Miles Davis)という人がいます。この人のオフィシャル・サイトにアクセスすると、そのトップページでもの悲しげな音楽が流れてきます。
ジョージ・ガーシュイン(George Gershwin)の「サマータイム(Summertime)」という楽曲[紙ジャケCDを大人買いしているrock親父達には、ジャニス・ジョップリン(Janis Joplin)の名唱でご存知の方も多いでしょう]です。マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の『ポーギー&ベス(Porgy & Beth)』[ジョージ・ガーシュイン(George Gershwin)の同名ミュージカルのジャズ・オーケストラ版]に収録されています。この「サマータイム(Summertime)」含めてアルバム全曲のアレンジを担当したのが、今回の主人公ギル・エヴァンス(Gil Evans)です。
興味のある方はこちら(http://www.milesdavis.com/)をクリックして下さい。マイルス・デイヴィス(Miles Davis)のオフィシャル・サイトに飛びます。
cf.参照せよ!
で、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)がらみで書き進めて行くと、今で言うインディーズのジャズ・レーベル、プレステッジ(Prestige)との契約を反古にしてレコード会社大手CBS(CBS)に彼が移籍する、そのきっかけになったのも、マイルス(Miles)がギル(Gil)とのレコーディングを強く望んだからなんです。
と言ってもギル(Gil)がCBS(CBS)の専属だったからではなくて、二人が思い描く緻密なアレンジと繊細なオーケストレイションを現実化する為のレコーディング予算は、プレステッジ(Prestige)では実現不可能な金額だった......。
と、書くとプレステッジ(Prestige)が無茶苦茶な貧乏所帯だとか、けちん坊だったとか思っちゃうかもしれないけれども、そうぢゃあない。
もしかしたら、ホントのところは貧乏所帯でドけちだったかもしれないけれども、そうぢゃあないことにしておく。なんだかなぁ(C斉木克己)。まぁ、名門ブルーノート(Blue Note)と比べれば、確かにちゃらんぽらんなところもあるのは否定できないけれどもね。
そうぢゃあなくて、例えばCBS(CBS)時代でも、名作だらけの二人のコラボ作品の中でも傑作中の傑作と喧伝されている『スケッチ・オブ・スペイン(Sketches of Spain)』も膨らみ続ける予算[と言うか、いつまでも続けられるリハーサルと完成のめどが全くたたない状況]のせいであやうく制作中止の憂き目に遭いそうになったという事は、中山康樹氏の労作『マイルスを聴け!』にもちゃんと書いてある。
これ以外にも、二人の微妙な関係(どこがどう微妙なのかはあまりに微妙すぎてここでは書けない)は、ジャズを支える音楽理論の最初にして最大の難物、モード奏法を産み出すのだけれども、演奏家ではない僕達私達は、とりあへず、『カインド・オブ・ブルー(Kind of Blue)』を聴いてその美しい世界に身を投じればいい。とどのつまりは、この二人は共謀して素晴らしい音楽作品を送り出したって事を把握して下さいって事です。
ここまでが導入部で、これから本論かぁ。長いなぁ〜。
えい、後篇につづく!
ものづくし(click in the world!) 19.-1.:
out of the cool THE GIL EVANS ORCHESTRA
out of the cool THE GIL EVANS ORCHESTRA
邦題(作者クレジット)/オリジナルタイトル(作者クレジット)
1.ラ・ネヴァダ(G.エヴァンス)
LA NEVADA(GIL EVANS)
2.ホエア・フラミンゴス・フライ
(H.コランダー - E.テア - J.B.ブルックス)
WHERE FLAMINGOS FLY(H.COULANDER - E.THEA - J.B.BROOKS)
3.ビルバオ・ソング(K.ワイル - B.ブレヒト)
BILBAO SONG(K.WEILL - B.BRECHT)
4.ストラトゥスファンク(G.ラッセル)
STRATUSPHUNK(G.RUSSELL)
5.サンケン・トレジャー(G.エヴァンス)
SUNKEN TREASURE(GIL EVANS)
プロデュース:クリード・テイラー
PRODUCED BY CREED TAYLOR
COVER DESIGN:ロバート・フリン/ROBERT FLYNN/VICEROY
PHOTOGRAPH:アーノルド・ニューマン/ARNOLD NEWMAN
ORIGINAL LINER-NOTES:トム・スチュワート/TOM STEWART
1960年11月、12月録音
LA NEVADA
RECORDED NOVEMBER 18,1960
WHERE FLAMINGOS FLY/STRATUSPHUNK*
RECORDED DECEMBER 15,1960
BILBAO SONG
RECORDED NOVEMBER 30,1960
SUNKEN TREASURE*
RECORDED DECEMBER 10,1960
ギル・エヴァンス/GIL EVANS(PIANO,ARRANGE AND CONDUCTOR)
ジョニー・コールズ/JOHN COLES(TRUMPET)
フィル・サンケル/PHIL SUNKEL(TRUMPET)
ジミー・ネッパー/JIMMY KNEPPER(TROMBONE)
ケグ・ジョンソン/KEG JOHNSON(TROMBONE)
トニー・スタッド/TONY STUDD(BASS TROMBONE)
ビル・バーバー/BILL BARBER(TUBA)
レイ・ベッケンシュタイン/RAY BECKENSTEIN(ALTO SAXOPHONE,FLUTE AND PICCOLO)
バド・ジョンソン/BUDD JOHNSON(TENOR AND SOPRANO SAXOPHONE)
ボブ・トリカリコ/BOB TRICARICO(BASSOON,FLUTE AND PICCOLO)
レイ・クロフォード/RAY CRAWFORD(GUITAR)
ロン・カーター/RON CARTER(BASS)
エルヴィン・ジョーンズ/ELVIN JONES(PERCUSSION)
チャーリー・パーシップ/CHARLIE PERSIP(PERCUSSION)
*エド・ケイン/EDDIE CAINE(ALTO SAXOPHONE,FLUTE AND PICCOLO) REPLACES レイ・ベッケンシュタイン/BECKENSTEIN
僕が入手した紙ジャケットCDの解説は、柳沢てつや氏が担当しています。
posted =oyo= : 10:32 | comment (0) | trackBack (3) | adventures of t.g.chaung /ものづくし (click in the world!)
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