2006年01月06日
『新選組!! 土方歳三 最期の日』を観て
舞台は箱館 五稜郭。
明治新政府=官軍=薩長軍の総攻撃前夜。
土方歳三(山本耕史)、榎本武揚(片岡愛之助)、大鳥圭介(吹越満)。
この三人の男達が激しく対立する物語として『新選組!! 土方歳三 最期の日』を観てみる。
ものづくし(click in the world!) 21. :
男が三人、あい対峙する
地位や出自、立場や主義主張の異なる男達が、ひとつの命題を基に、己の意思を明確にして激しく言い争う。しかも夜を徹して。その向こうにあるのは、朝の陽光と三人の和解、そしてあとはその命題の解決に三者一致団結して取り組むのみ。
と、いう風に読み解くと、三谷幸喜監督作品映画『みんなのいえ』の、嵐の一夜の変奏曲となる。と、いう事は、映画『JAWS』で、海洋学者(R.ドレイファス)と鮫退治のプロ(R.ショウ)と警察署長(R.シャイダー)との対立から和解への物語が源流となるのだろうか(『JAWS』の『みんなのいえ』への引用は、三谷幸喜自らが公言している)。
僕個人は、決戦前夜ということもあって、アラモ砦のデヴィ・クロケットとジム・ボウイとJ.B.トラビスの、三人の英雄の物語を思い出しちゃったんだけれども?(過去、何度か映画化されていますね?『アラモ(1960年版)』と『アラモ(2004年版)』など)
但し、『みんなのいえ』では、対立する若い設計士(唐沢寿明)と施行を請け負ったが昔気質の大工棟梁(田中邦衛)のあいだでおろおろ慌てふためく優柔不断な施主(田中直樹)が、物語を引っ張って行き、さらには結果的にふたりの対立構図を氷解させるという構図だったのに対し、今回は対立する一方の側、すなわち土方歳三(山本耕史)の視点で常に、物語られたところが新味か?(逆に三者の対立構図は、甘くなったけれども)
いずれの物語にしても、対立する三者は結局は”同じ穴の狢”で”ろまんち(=ロマンティスト)”だったという合意に至る。
それまで、死に場所を探していた男が生きる目的を見いだした瞬間に、死を迎えるというのはよくある説話的な技法だけれども、その死が決してネガティブな装いをみせずに、ポジティブなメッセージとなった事は、評価すべきだろう。
遺された者達に向けた永井尚志(佐藤B作)の台詞がよい。この台詞は、三谷幸喜からファンへむけたことばでもあるのだろう。
以下、蛇足。
土方歳三(山本耕史)の命によりひたすら多摩へとひた走る市村鉄之助(池松壮亮)のエンディングは、みなもと太郎の『冗談新選組』のラストシーンを彷彿とさせる。だから、彼が走っているのは、北の大地にしか見えない。つまり、南下ではなくて、新天地を求めてさらに北上している様に見えました。
いや、きっとそうに違いない。志半ばにして死した彼らは北へと向かったのだ、そんな感慨にふけってしまいます。
posted =oyo= : 20:38 | comment (0) | trackBack (0) | ものづくし (click in the world!)
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