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2006年02月27日

『恋の自己顕示欲(プロパガンダ)』 by スパークス(PROPAGANDA by SPARKS)


1980年代時代閉息感に満ちているが故に、新しい音楽やカルチャーを胎動させた西ベルリンの事を書く前に、1970年代 ロンドンのゴージャスなポップカルチャーを演出した音楽作品の事を書く(だから、西ベルリンは宿題とさせて頂きます)。

先ずは、いつもの様に、奇妙なジャケットの話から。
猿轡を噛まされ手足を縛られた男が二人、モーターボートに投げ込まれていずこかへ連れ去られる...という、全くもって不可解極まりないセンスを大爆発させているのが、本編の主人公、スパークスSPARKS)である。そして、正に誘拐?されつつあるジャケットの二人、これがその中心人物、というよりもほぼ等号で結ばれるのがメイル兄弟。下の写真、左側が弟のラッセル・メイル(Russell Mael)、右側が兄のロン・メイル(Ron Mael)である。

sparks1.jpg

この作品はほぼリアルタイムで聴いた。中学の先輩が持っていた。その音楽以前に、このジャケットの持ついかがわしさ、危うさが、妙に印象に残った。
そして、当然のごとくに無理矢理その先輩から聴かされる訳だけれども、その雑多な音楽性は当時は受け付けなかった様な気がする。そこで聴けるのは、ロックカルチャー誕生以前のありとあらゆる音楽、バーレスクミュージックだったり、オフブロードウェイだったり、ボードヴィリアン・ミュージックだったり、オペレッタだったり、それらが渾然一体となって、独自の音楽性を展開していたのだ。
当時は、いわゆるグラム・ロック全盛時代。T.レックスT.REX)やD.ボウイDavid Bowie)やロキシー・ミュージックROXY MUSIC)が、キッチュの極みを競い合っていた時代、その模様は映画『ベルベットゴールドマインvelvet goldmine)』で伺い知る事ができる。ちなみに日本では、サディステイック・ミカ・バンドの「タイムマシンにお願い」が話題を呼んでいた時代です(木村カエラをフィーチャーして再結成しましたね、この時代にTV-CMで彼らを拝めるとは想わなかった)。

sparks2.jpg

そんな時代背景を背に受けて、渾沌とした音楽性と、数寄者の様なファッションセンス、特にロン・メイル(Ron Mael)のロックミュージシャンらしからぬヴィジュアルから、時代の徒花的な印象を受けるかも知れない。でも、スパークスSPARKS)に欠けているもの、それはアイドル性だったりハードロックの要素だったりカラオケで歌える様な分かりやすさだったり最上級のエンターテイメントを身にまとえば、クィーンQueen)ないしはフレディ・マーキュリーFreddie Mercury)は生成可能です。嘘だと想ったら、彼らの有名曲でないアルバム収録曲とスパークスSPARKS)の代表曲を聴きくらべれば良い。
だから、パンクな時代を経た後の、ニューウェイヴ全盛時に、もう一方の時代の寵児ミュンヘンサウンドの立役者、ジョルジョ・モロダーGiorgio Moroder)をプロデューサーに迎え、最先端のシーンに返り咲いたのもむべなるかな。余談だけれどもその時の作品が『No. 1 in Heaven』、”あの世でイチバン”っていうヒネクレ方がサイコーって想いましたよ、当時。

ものづくし(click in the world!)  25.:

恋の自己顕示欲(プロパガンダ)

by スパークス(propaganda by sparks)

sparks-propaganda.jpg

スパークス/恋の自己顕示欲(プロパガンダ)
SPARKS/PROPAGANDA

1.プロパガンダ
PROPAGANDA(Ron Mael)
2.時は流れ、気分は変わる
AT HOME,AT WORK,AT PLAY(Ron Mael)
3.リインフォースメントス
REINFORCEMENTS(Ron Mael/Russell Mael)
4.べティーとチャーリー
B.C.(Ron Mael)
5.サンクス・バット・ノー・サンクス
THANKS BUT NO THANKS(Ron Mael/Russell Mael)
6.ドント・リ−ヴ・ミ−・アロン・ウィズ・ハー
DON'T LEAVE ME ALONE WITH HER(Ron Mael)
7.家には帰れない
NEVER TURN YOUR BACK ON MOTHER EARTH(Ron Mael)
8.サムシング・フォー・ザ・ガール・ウィズ・エヴリシング
SOMETHING FOR THE GIRL WITH EVERYTHING(Ron Mael)
9.アチョー
ACHOO(Ron Mael)
10.フー・ドント・ライク・キッズ
WHO DON'T LIKE KIDS(Ron Mael)
11.ボン・ボヤージ
BON VOYAGE(Ron Mael/Russell Mael)

Ron Mael - Keyboards, weird sense of humour
Russell Mael - Amazing vocals
T. White - Guitar
Arian Fisher - Guitar
Ian Hampton - Bass
Dinky Diamond - Drums

Produced : Muff Winwood
Recording Enginners : Richard Digby-Smith , Robin Black & Bill Price
Remix Enginner:Bil Price

(P)1974 Islands Records Ltd.

僕の持っている”世界初CD化”の国内盤には、山田道成氏の解説とラッセル・メイル(Russell Mael)のコメント(訳:松沢みき)がおさめられています。

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コメント

to Smithd134

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