2006年12月25日
so long,The Godfather Of Soul : farewell Soul Brother No.1
Legendary singer James Brown dies at 73
JBが亡くなった。享年73歳。
JB( = ジェームス・ブラウン = James Brown = The Godfather Of Soul = Soul Brother No.1 = The Hardest Working Man In Show Business = Mr.Dynamite)というアーティストに初めてきちんと向き合った作品はアフリカ・バンバータ(Afrika Bambaataa)とのコラボレーション作品『ユニティ(Unity)』(1984年発表)でした。
NY.カルチャーの土壌から勃興した当時の新興勢力ラップ/ヒップ・ホップ(rap / hip hop)の中心人物アフリカ・バンバータ(Afrika Bambaataa)に招かれるままに参加したこの作品で、JBは己が守旧派でも旧勢力でもアンシャン・レジーム(Ancien regime)でも消え去るのみの老兵(Old soldiers never die; they just fade away.)でも忘れ去られた老廃物でもなく、リアル・タイムで現役感覚ばりばりのアーティストである事を立派に証明します。
作品の制作者側の意図としては、"かつての"JBの称号であるThe Godfather Of Soul = Soul Brother No.1をその本人との共演によってアフリカ・バンバータ(Afrika Bambaataa)が王位継承するという図式を意図したものかもしれません。もしくは、JBのマネージメント側としては、人気に翳りが出て来たアーティストに、彼をリスペクトする若手アーティストと共演させる事によって、新たなファン層の獲得を目指そうという意図があったかもしれません。
舞台裏で行われていたお膳立てはともかく、アフリカ・バンバータ(Afrika Bambaataa)自身も相当に気合い入れまくり(逆に入れまくり過ぎて力が入り過ぎているキライもあり)、彼が差し伸べた「unity(←YoutubeでPV発見!)」という'70年代のかつてのブラック・アンセムを彷佛とさせるこの言葉は、JBを鼓舞すると同時に、JB復活を全世界に轟かせる作品となりました。
そしてまた、アフリカ・バンバータ(Afrika Bambaataa)と彼に続く新興勢力ラップ/ヒップ・ホップ(rap / hip hop)が、ブラック・ミュージック(black music)の、ど太い源流を汲むものであるという認識を世界にアピールしたのでした。この「unity」という曲名は、米国で公民権運動(American Civil Rights Movement) ≒ ブラックパワー(The Black Power)華やかなりし頃に、JBの「Say It Loud - I'm Black And I'M Proud」がとても力強く鳴り響いていたという事実を聴く者に呼び起こします(逆に、作家や制作者サイドにこの認識がなければ「unity」という曲自体は生まれません)。
この『ユニティ(Unity)』がいかに大切なものだったのか、その証拠にJBの活動を集大成した4枚組CDボックス『Star Time』(1991年発売)では、そのラスト・ナンバーとして「unity」が収録されている事を挙げておきます。
最初に動くJBを観たのは、地元のレコード・チェーン店主催のフィルム・コンサート[メインはザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones]で、その時のマント・ショー(the song for JB's mantle show)とモノクロのスクリーンに映る'60年代の絶頂期の彼の姿に度胆を抜かれました。
力強く野太いリズム・セクションと、剃刀の様に鋭利なギター・カッティング、グルーヴするホーン・セクション、そしてそれらに対して我が者の様に降るまい王者の様に君臨するJB。それが全てであり始りでした。
以来、ザ・レジデンツ(The Residents)による「It's a Man's Man's Man's World」の悪意と揶揄と愛情がないまぜになったカヴァー(後にアルバム『George & James』へと発展)を聴いたり、ピッグ・バッグ(PigBag)のデヴュー曲[世間一般的にはビョルン・ボルグ(Bjorn Borg)をフィーチャーしたスクーターのCM使用曲]「Papa's Got a Brand New Pigbag」が、有名なJBソングのタイトルからの引用だったり、映画『ブルース・ブラザーズ(The Blues Brothers)』で主役の二人にブルース(blues)の引導を与える宣教師クレオファス・ジェームス牧師(Reverend Cleephus James)としてのシーン[この説教〜ゴスペル(gospel)〜熱狂的なダンス・パフォーマンスっていうシークエンスはその後、ありとあらゆるところで流用されます]とか。
彼へのリスペクトという形で、彼の音楽そのものに接する以上に、彼に教えを乞うてきたモノどもが己のフィールドで彼への愛を語って来たところを、ずぅうっと観て来た様な気がします(その極め付けが巻頭に紹介した『ユニティ(Unity)』です)。サンプリング・ネタに使われたのは数知れず、The Godfather Of Soul = Soul Brother No.1という呼称は、法螺でも出鱈目でも誇大広告でもなんでもなくて、厳然たる事実です[当時の僕は、得体の知れない大学の先輩達に連れられてリズム・アンド・ブルース(rhythm & blues)専門のディスコでcold sweatを踊り惚けてたりしています]。
井筒和幸監督の映画『ゲロッパ ! GET UP』をこの中に加えるか否かは思案中だけれども、そのお陰かどうか知らないけれども、僕がこの訃報の第一報に触れられたのは「イブニング・ファイブ」での小倉弘子アナの口からでした。音楽的功績云々を離れたところでも、彼の雄叫びのひとつ「げろっぱ!!(=Get up)」は口吻に附随するものだったという事。今また、「報道ステーション」でも訃報が流れています。
と、ここまで書いてふと思い出したけれども、ザ・ドリフターズ(と言ってもThe Driftersぢゃないよ、日本の方)の志村けんのネタの「♪いっちょめ、いっちょめ、わぁあおぅ♪」(東村山音頭)も本人の預かり知らぬところで生まれたJBの遠い子供の一人かも知れません。
ともかく、JBが育んで来た土壌に育った音楽をずうっと聴いて来た人間のひとりです、この僕も。
故人のご冥福をお祈りします。
posted =oyo= : 22:45 | comment (0) | trackBack (0) | たいの日記 /ニュースをみる
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