2007年02月25日
ライヴ・フロム・サウンドスケープ by サン・ラ・アーケストラ(Live from Soundscape by Sun Ra Arkestra)
サン・ラ(Sun Ra)という人物がナニモノであり、彼が率いるアーケストラ(his Arkestra)がナンなのかを語る前に、先ずはこれを聴いてもらいたい。
ハル・ウィルナー(Hal Willner)のプロデュースによる一連のトリビュート企画の第4作『Stay Awake: Various Interpretations of Music from Vintage Disney Films』 に収録されている「Pink Elephants On Parade」。
この楽曲は、映画『ダンボ(Dumbo)』の中で、酒に酔った主人公ダンボ(Dumbo)が観る悪夢のシーンに流れる楽曲である。でも、この酩酊状態で彼が獲得するものの大きさから観れば、非常に重要なシーンである事が解る。オリジナルのサウンド・トラックを聴きたい方はこちらをどうぞ。
自らを土星(Saturn)出身(勿論、細木数子の土星人とも『MOTHER』のどせいさんとも無関係)とか太陽神ラー(Ra)の生れ変わりとか称したり、金ラメなド派手な衣装に身を包んでフリーキーなジャズの集団インプロビゼーションを演奏するその姿を観れば、やっぱり、フツーの人々はヒいてしまうかもしれない。
でも、よおく冷静に考えてみれば、そこに観えるモノを丁寧にひとつひとつの要素として解体して行けば、実は凄まじくオーソドックスなモノが観えてくると思うが、如何だろうか?
サン・ラ(Sun Ra)自身と彼の音楽を語る際の前提条件となってしまった感のある「(土星人でもどせいさんでもない)土星(Saturn)出身」とか「太陽神ラー(Ra)の生まれ変わり」とかは、ひとまず置いておく。
ここでは純粋に音楽だけに固執してみよう。
群盲が象を撫でる様に(あえて"木を観て森を観ない"様に)全体像に固執しないで細部にとことん執着して聴いてみよう。サン・ラ(Sun Ra)と彼のアーケストラ(his Arkestra)の演奏を聴けば、実は意外とオーソドックスな音楽に思えたりする。
非常にプリミティブな土俗的な音楽(アフリカのどこかの部族の呪術的な儀式を思い出させる)だったり、非常にメロディアスなハーモニーを聴かせる管楽器の演奏だったり、ゴスペルの様なコール&レスポンスが聴けたと思ったら、ビッグバンド・ジャズの祝祭的な雰囲気に包まれて、所謂フリー・ジャズ的(馬の嘶きの様な)サックスのソロが始るといった具合。
個人的には、ブラック・ミュージックの様々なエッセンスや歴史や表現手法がひとつの坩堝に放り投げられて、どろどろに沸き起こっている様なイメージです。例えば、それを統合して整理整頓してある一定の秩序を与えられたとすれば、非常に快い音楽になるのかもしれない(現に、一般的な意味での音楽の、美しい瞬間はあちらこちらにある)。ただ、サン・ラ(Sun Ra)はそれをあえてしない。融合出来ずに大きなエナジーとエナジーがぶつかりあっている、渾沌とした溶鉱炉で滾っている現状をわたし達に差し出すだけだ。
彼が差し出すモノを単なる騒音としてとらえ悪夢的な酩酊と看做すのか、その先に待ち構えているかも知れない飛翔の予感を見い出しえるかは、彼の音楽を聴いた者自身が判断する事でしょう。
本作品は、NYの先鋭的なライブハウス、サウンドスケープ(Soundscape:1979 - 1985)で行われた、1979年のライブ音源です。初回限定盤には、サン・ラ(Sun Ra)御大によるレクチャーCD「地球の運命は変えられるか(The Possibility Of Altered Destiny)」が付録としてついてました。
凄まじく大量にある彼の作品の中から何故、これにしたかというと、単純にジャケットに御大がかっこよく映っていたからに他ありません。
もし、この駄文で彼と彼の音楽に興味をもたれた方は、先ずは『The Singles』をお聴き下さい。タイトルどおり、シングル曲として発表された楽曲が網羅されています。3分間という圧縮された空間に鳴り響くサン・ラ(Sun Ra)ミュージックであります。
ちなみに、僕が彼の音楽に触れるきっかけはザ・ポップ・グループ(the pop group)。もし、このきっかけを与えてくれたのがクリス・カトラー(Chris Cutler)だったら、サン・ラ(Sun Ra)ミュージックへの僕自身のアプローチもだいぶ異なるモノだったと思います。
ものづくし(click in the world!)48.:
ライヴ・フロム・サウンドスケープ by サン・ラ・アーケストラ
("Live from Soundscape" by Sun Ra Arkestra)
ライヴ・フロム・サウンドスケープ by サン・ラ・アーケストラ(Live from Soundscape by Sun Ra Arkestra)
1.ASTRO BLACK
2.WHERE THERE IS NO SUN
3.LIVING IN THE SPACE AGE
4.KEEP YOUR SUNNY SIDE UP
5.D.27
6.WATUSI
7.SPACE IS THE PLACE
8.WE TRAVEL THE SPACE WAYS
9.ON JUPITER,THE SKIES ARE ALWAYS BLUE
All music composed by Sun Ra,Enterplanetary Music(BMI)
SUN RA,piano,keyboards ;MICHAEL RAY,WALTER MILLER,trumpet ; CHARLES STEPHENS,trombone ; VINCENT CHANCEY,french horn ; MARCHALL ALLEN,JOHN GILMORE,DANNY DAVIS,ELOE OMOE,JAMES JACKSON,DANNY THOMPSON,reeds,percussion ; DAMON CHOICE,vibraphone; SKEETER McFARLAND,guitar ; RICHARD WILLIAMS,bass ; LUQMAN ALI,drums ; ATAKATUNE,percussion ; JUNE TYSON,vocal
PRODUCED BY VERNA GILLIS* / COORDINATED BY KAZUNORI SUGIYAMA
RECORDED BY BRAD GRAVES / Edited by Verna Gillis / Sequenced & Pre-mastered by John Azelvandre at Harvestworks/Studio Pass,NYC / Liner Notes by Howard Mandel / Front Cover Photography by Spencer Richards / Back Cover Photography by Kazunori Sugiyama / Cover Design by DIW Design Room
*Dedicated to the wonderful SOUNDSCAPE
staff during those years : Jeff Dugas,Natalie Budelis,Mark Beachum,Kara Gamble,Erik Spahn
(C)1994 SOUNDSCAPE / (P) 1994 disk UNION
日本盤解説:清水俊彦
Sun Ra Talks On "The Possibility Of Altered Destiny"
サン・ラ「地球の運命は変えられるか」
11/10/79 サウンドスケイプ 、NYC 杉山和紀
PRODUCED BY VERNA GILLIS
COORDINATED BY KAZUNORI SUGIYAMA
Recorded by Brad Graves
Partial transcription has appeared in HAMBONE,No.2,FALL 1982.
Cortesy of Nathaniel Mackey,editor of HAMBONE.
Pre-Mastered by John Azelvandre at Harvestworks/Studio Pass,NYC
This CD is the first 72 minutes of an unedited talk by SUN RA.
The entire event was over 90 minutes.
(C)1994 SOUNDSCAPE / (P) 1994 disk UNION
posted =oyo= : 21:49 | comment (4) | trackBack (0) | adventures of t.g.chaung /ものづくし (click in the world!)
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コメント
> Smithf785
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> smith536
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