2007年03月18日
キングギドラの憂鬱
三本の頸に、一対の翼、ニ本の尾。そしてそれらは黄金の鱗に覆われて、全身は金色に光り輝く。
その特異な形態よりも、キングギドラ（King Ghidorah）が美しいのは、『ゴジラvsビオランテ
正面から彼を観れば、左右に大きく拡がる金色の翼とニ本の野太い脚が半円下方を形成して、その延長線上にある上円周縁を、自由に乱舞する三本の頸が描く。
側面から彼を観れば、重量感溢れる寸胴が円弧の下方を描き、振仰いだ翼がその対称の円弧を担う。そして、振り回される二本の尾と対になって、三本の頸の動きが、残りの円弧を補完して、ここに完全な円が完成する。
（下方からふり仰ぐのも）そして遥か上空から見下ろすも同じ事。ほぼ全身を巨大な一対の翼が覆い隠して円周を形成して、間断なく動き回る頸が遺された円弧を補完する。
そして、対になった翼同士の動き、振り回される金色の尾、敵を補足し追撃の反重力光線を吐きかける三本の頸、各々がみっつの異なった円運動を形成する。
幼い頃、スクリーンを破って登場して、映画館を破壊する彼の姿を何度も幻視しました。
キングギドラ（King Ghidorah）からの主観ショットが感動ものの『ゴジラＶＳキングギドラ
ものづくし（click in the world!）50.：
Three of a Perfect Pair
ところで、問題なのは、その彼が三対の眼で捕えた世界をどの様に認識して、どの様な手順で、意思決定をして、次の行動に移行してかと言う事。
古くは二度に渡って行われた共和制ローマ(Roman Republic)の三頭政治(Triumviratus)や三位一体論（Trinitas)、近くは55年体制で戦後レジームの国内政治を実質的に取り仕切って来た自民党三役。
卑近なところでは、クリーム(Cream)とかポリス(The Police)とかのスーパー・ロック・トリオの存在。
「３」という形態は、最小単位の形態でありながら、常に危機的な緊張感とあらゆる可能性を秘めている。
と、言う事をくだくだしく書いたのは、この季節、ともすると、山積みになったやるべき事柄とやりたい事柄とできる事柄との間に「あやしうこそものぐるほしけれ」（from 『徒然草』 by 吉田兼好）。ひとつの胴体の束縛から逃れて、それぞれの自由意思に従って行動出来ぬ己を呪う、三頸の龍になった様なきがするからです。
posted =oyo= : 11:07 | comment (2) | trackBack (0) | たいの日記 /映画もみる
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コメント
＞丸霧さん
どういたしましてです。
ほんの一時であっても、楽しいひとときを御提供出来て、喜ばしく想います（笑）。
僕達の世代のヒールは完全にキングギドラでした。
ゴジラのシンプルなフォルムと黒い質感に反する、デコラクティヴな美意識で統一された姿は、威圧感と威厳に満ちていました。
ここでは書きませんでしたが、小学校の音楽室にあるエレクトーンの最高音部の鍵盤を♪ピリピリっ♪と全音符で押して、キングギドラの鳴き声だぁとか、騒いでいたのも懐かしい思い出です（とおい眼）。
ps：メカゴジラに限らず、東宝特撮映画に出るメカは、無駄なフォルムのない機能美が追求されていますね!?
投稿者: たいとしはる feat.＝OyO＝ | 2007年03月20日 19:00
幼少の頃、私の持っていたキングギドラの人形と、友人の持っていたメカゴジラの人形を対決させ、敗れた想い出があります（笑）。
当時、キングギドラ人形の後に、新製品のメカゴジラ人形が登場したので、私自身、少し弱気になっていたのかも・・・。
周囲の応援も、メカゴジラ派ばかりでした。
でも、=OyO=さんのブログを読んで、「キングギドラって、こんなにカッコよかったんだ！！」と、改めて思い、良質な感慨に耽る事ができました。
どうも有り難う御座います。
今日は良い日だ♪
投稿者: 丸義 | 2007年03月20日 15:46