2010年03月12日
冬ノ終リニ詠メル
忘るなと 遅れ来る冬 掌かじかむ 逆光の中 きみみうしなふ
るい詠める
<読み>
わするなと おくれくるふゆ てかじかむ ぎゃっこうのなか きみみうしなう
<意味>
[この冬の寒さを] 忘れるなと遅れて来た冬の気配で掌がかじかむ。逆光がさす中、あなたを見失う。
<解説>
三月に入って本来ならば花の便りに浮かれるこの時季に、想わぬ程の厳しい寒さが訪れた。それはまるで、この冬の寒さが名残を惜しんで、最後の最後に残したものかもしれない。だから、結句に顕われる「きみ」は、冬そのものをさすのかもしれない。少なくとも、久しぶりに暖かい陽射しに恵まれた東京では、ついここ数日の事も、忘れ去ってしまっているからだ。
(この項:たい)
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