2010年09月10日
野分ト共ニ去ヌヲ詠メル
背の向かふ 衣擦れの音を あきと聴く 昨日の蝉も 黙してゆくや
るい詠める
<読み>
せのむこう きぬずれのおとを あきときく きのうのせみも もくしてゆくや
<意味>
背中の向こうで聴こえる [あなたの] 衣擦れの音を、秋が来たとも飽きが来たとも。聴いている。昨日まで、鳴いていた蝉も聴こえず、黙ったまま、逝ってしまった。
<解説>
台風第9号は、この季節のこれまでの颱風とは、全く異なった進路を執りながら、日本列島を横断した。一夜明ければ、これまでの猛暑・酷暑はどこへやら。平年並みの気候となった。と、いうか、昨日までの体感からか、少し肌寒い気もする。
このまま、従来通りに秋が深まってゆくのであろうか。
この唄は、そんな季節の変わり目を詠み込んだ歌である。
第三句の「あき」は「秋」と「飽き」の、結句の「ゆくや」は「[蝉が] 逝く」と「[あなたが] 行く」、それぞれの掛詞 (Kakekotoba or Pivot Words)。
(この項:たい)
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