2012年12月13日
師走ノ喧噪ヲ離レテ詠メル
夕の化粧 鏡に映ゆる 灰かぶり 流行の眉の弧 描きてはみても
<読み>
ゆうのけわい かがみにはゆる はいかぶり はやりのまゆのこ えがきてはみても
<意味>
夕べの化粧には、鏡に映っているのは、灰かぶり姫である。流行の眉のかたちを描いてみたとしても。
<解説>
第3句「灰かぶり」は、言うまでもなく、サンドリヨン / アッシェンプッテル (Cendrillon / Aschenputtel) の謂いであって、つまりは、シャルル・ペロー (Charles Perrault) の『ペロー童話集 (Les Contes de ma mere l'Oye)』やヤーコプとヴィルヘルムのグリム兄弟 (Jacob und Wilhelm Grimm, genannt die Bruder Grimm) の『グリム童話 (Grimms Marchen)』でのシンデレラ姫 (Cinderella) の事である。
この時季ならば、夕方に行う化粧というのは、アフター・ファイブの、忘年会やらクリスマス・パーティーやらなんやらの様々な催しに向かう為に、するべきものであるのだろう。だが、作者は己自身をサンドリヨン / アッシェンプッテル (Cendrillon / Aschenputtel) に、なぞらえて、それらとは一切、無縁の己を詠う。試みに、最近、流行の眉を描いても、それを観せる / 魅せる相手がいない。
だが、サンドリヨン / アッシェンプッテル (Cendrillon / Aschenputtel) に擬制する事は、すなわち、「いつか王子様が (Some Day My Prince Will Come)」となって、ハッピー・エンドを迎える可能性を否定している訳では、必ずしもないのだ。
猶、初句「化粧」、第2句「〜映ゆる」、第3句「灰かぶり」、第4句「流行の〜」、結句「〜はみても」と、ハ音を重ねて、語調を整えている。
posted =oyo= : 23:35 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)
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