2013年08月08日
孝標女真似ビテ詠メル
きみがもと 明かぬ夜にたつ 吾もまた 遺せしみ仏 そのかんばせ
るい詠める
<読み>
きみがもと あかぬよにたつ われもまた のこせしみほとけ そのかんばせ
<意味>
あなたのもとを夜が明ける前に離れるわたしもまた、[菅原孝標女が京に帰国する時に遺してきた] 仏像とその面影を [思いやる様な心持ちである]。
<解説>
詞書にある様に、この歌は菅原孝標女 (Takasue's Daughter) の回想録『更級日記 (Sarashina Nikki : Sarashina Diary)』を下敷きにした作品である。
その冒頭である『門出』の章で、父である菅原孝標 (Takasue Sugawara) の任期満了に伴い、その任地上総の国府 (Kazusa Province) を一党共々に出立する際の叙景が描写されている。家財道具の一切を引き上げるその中にあって唯一、自身が帰依していた薬師如来 (Bhaisajyaguru)だけが取り遺されている。文中には、その景を観た筆者の心中が語られていて、そこでの想いをそのまま、この歌は引用しているのである。
夜明け前に、恋人の許を去るのは、時節柄、帰省するからであろうか、それとも、火急の用向きの為であろうか、それとも、依った『更級日記 (Sarashina Nikki : Sarashina Diary)』のままに、永の別れなのだろうか。
(この項:たい)
posted =oyo= : 17:26 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)
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