2014年05月08日
キクチサヨコヲ詠メル
なつの花 腿を伝ふて 紅くちる 結ばぬ実のゆへ 澱んで濁る
るい詠める
<読み>
なつのはな ももをつとうて あかくちる むすばぬみのゆえ よどんでにごる
<意味>
夏の花はわたしの腿を伝って紅く散る。身を結ぶ事のない身の上だから、[清流を流れてゆく事なく] 流れの中に澱んで [そこを紅く] 濁らせている。
<解説>
詞書にある「キクチサヨコ」はつげ義春 (Yoshiharu Tsuge) の短編マンガ『紅い花 (Red Flowers)』 [1967年発表] のヒロイン。渓流釣りに訪れた主人公が出逢う少女である。
その作品の中で、咲いて散って清流を流れ去ってゆくのは、その少女の経血 (Menstruation) を象徴的に顕したモノで、この歌もそれをそのまま下敷きにしているが、歌の中では、マンガの中に咲くその花とは異なる咲き方 / 散り方をしている。
第4句「実のゆへ」は恐らく、「[花の] 実の故」と「身の上」の掛詞。
(この項:たい)
posted =oyo= : 17:33 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)
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