2014年08月14日
我ガ身勝手ヲ詠メル
ゆふされば 待ちあぐねをり 闇のきみ 朝陽昇れば 疎ましひ
<読み>
ゆうされば まちあぐねおり やみのきみ あさひのぼれば うとましい
<意味>
夕方になると待ち倦ねている闇のあなただが、朝陽が昇る頃には [あなたが来て居たとしても] 疎ましい事だよ。
<解説>
初句「ゆふされば」は「夕方になれば」と謂う意。文法的には、名詞「夕」 + 自動詞 ラ行四段活用已然形「然る」 +原因理由を顕す接続助詞「ば」となる。接続助詞「ば」のいくつもの機能のうち、已然形に接続するかたちが思い起されれば、判読出来ると想う。ちなみに、接続助詞「ば」は未然形に接続すると順接の仮定条件を顕す [もし〜したら] から、上の場合で換言すると"ゆふさらば"となる。
現代口語文で考えると、その差異ははっきりしないが、英語で考えるとふたつの従属接続詞 (Subordinating Conjunctions) すなわち、"When ( …ならば )"と"If ( もしも…ならば )"の差異だ。だから、下句の解釈に影響を及ぼす [この頁を参照の事]。
猶『小倉百人一首 (Ogura Hyakunin Isshu )』収録の大納言経信 (Minamoto no Tsunenobu)の句『夕されば門田の稲葉おとづれて蘆のまろ屋に秋風ぞ吹く (When the evening comes, / From the rice leaves at my gate, / Gentle knocks are heard, / And, into my round rush-hut, / Enters autumn's roaming breeze.)』を参照の事。
と、ここで終っても良い様な気もするが、第3句「闇のきみ」の解釈には触れなければならないだろう。ここでは、夕闇にまぎれて訪れる恋人、とも解釈出来る様な文言にしておいたけれども、もう少し、広い意味にも解釈出来るのではなかろうか。例えば、夜の擬人化の様な。
いずれにしても、待ち焦がれるくらいの時に顕われて、やるべき事が終えたのならば、すぐさま、退出すべきなのだろう。
つまり、長居は無用なのだ。
posted =oyo= : 17:17 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)
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