2015年08月13日
ぶらっどべり読ミテ詠メル
御使ひの 掌よりこぼれて 万華鏡 堕ちて砕けて 溶けて逝く夜
るい詠める
<読み>
みつかいの てよりこぼれて まんげきょう おちてくだけて とけてゆくよる
<意味>
天使の掌からこぼれ落ちた万華鏡は [下界に] 堕ちて砕けて溶けて逝ってしまうそんな夜。
<解説>
詞書きにある「ぶらっどべり」はSF作家のレイ・ブラッドベリ (Ray Bradbury) だろう。その短編のひとつに小説『万華鏡 (Kaleidoscope)』 [短編集『刺青の男 (The Illustrated Man) 』所収 1951年発表] があって、それをそのまま題材にした歌なのだろう。
小説自体は、事故にあって破壊された宇宙船から放り出された宇宙飛行士の … と書くとまるで映画『ゼロ・グラビティ (Gravity)』 [アルフォンソ・キュアロン (Alfonso Cuaron) 監督作品 年制作] みたいに思えるが、描かれている光景はまったく違う。死に向かって虚空を只管、堕ち続ける宇宙飛行士の内心と、その心境の変化が綴られているだけなのだ。
レイ・ブラッドベリ (Ray Bradbury) の小説の数多くがそうである様に、うつくしい小説ではあるのだが、翻って考えるとひとつの謎がこの小説にはある。題名の意味するモノが、作品内で具体的なかたちを伴って顕れてはこないからだ。
この歌は、そのひとつの解として、創られたモノなのだろう。
(この項:たい)
posted =oyo= : 17:17 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)
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