2016年05月19日
深夜ノ電話ヲ詠メル
掌は震ふ 真夜中響く 大なる音 あるはずもなき 訃報に怯へ
るい詠める
<読み>
てはふるう まよなかひびく だいなるね あるはずもなき ふほうにおびえ
<意味>
掌は震えている、真夜中に響く大きな音に、あるはずもない訃報におびえ [ているのだ]。
<解説>
深夜の電話は気持ちのいいモノではない。それは電話をかけてくる相手と先ず、時間も場所もそして心境も共有していないからだ。電話と謂うモノはそもそも、時間も場所もそして心境も共有していない他者とを繋ぐモノだから、本来的な意味では、電話そのものの存在が疎ましいモノなのかもしれないが、日常ではそれに気づく事は殆どない。しかしながら、深夜の電話はその事を如実に、しかも強制的に理解させる。
[逆に考えれば、電話を掛けると謂う行為は、時間も場所もそして心境も共有していない他者にそれを迫る行為と謂えるのかもしれない。]
そして、それが唯一許される行為が、訃報ではないだろうか。
作者はその可能性に怯えてはいるが、寧ろ、それ以上に怖しい一報と謂うモノの可能性が排除されているとは限らない。
(この項:たい)
posted =oyo= : 17:20 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)
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