2016年06月23日
梅雨ノ午後ニ詠メル
ざあと降る 茶葉がひらくを 待つをりに 天使がとおる 悪魔もとおる
るい詠める
<読み>
ざあとふる ちゃばがひらくを まつおりに てんしがとおる あくまもとおる
<意味>
ざあと [強い雨が] 降る。[煎れた茶の] 茶葉が開くのを待っている間に、 [沈黙の時が訪れて] 天使が通る [その上に] 悪魔も通る。
<解説>
第4句「天使がとおる」とは、仏語の諺"天使が通る (Un ange passe)"の事で、一座の者の会話が一瞬途絶えたその沈黙を指す言葉。場合によっては、その気まずさから逃れる為に、その場の誰かが"今、天使が通ったよね"と発し、それを発端として会話を促す場合もある。
と、謂う事を踏まえて歌を解釈してみると、よくある光景なのかなぁとも思える。
初句「ざあと降る」とある様に不意に降り出した雨音に驚いて、会話が途切れてしまう様な。
だけれども第2句「茶葉がひらくを」に注視してみると、その喫茶の席は始まったばかりだし話すべき事はいくらでもありそうだ。しかもその上、初句に描かれた光景も会話を促す話題のひとつにもなり得る。
と、なると重苦しい沈黙が支配する席なのだろうか。そしてそれ故に天使が通る (Un ange passe) ばかりか結句「悪魔もとおる」事をも許してしまう、と理解すべきなのだろうか。
(この項:たい)
posted =oyo= : 17:24 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)
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