2017年11月09日
肌寒イ朝ニ詠メル
すりあはす 掌と掌のあいだに わだかまる おのれのこころの あさましきゆへ
るい詠める
<読み>
すりあわす てとてのあいだに わだかまる おのれのこころの あさましきゆえ
<意味>
[寒くて] 擦り合わせている両掌の間にわだかまっているのは、わたしのこころが情けないからだ。
<解説>
秋の早朝、既に出勤の途上なのだろうか、それとも、朝餉の準備なのだろうか、寒さで冷えた両掌を擦り合わせて、ささやかな暖をとる。この時季、そしてこれから来る季節に、誰にでもよくある挙動だ。
だけれども、その際の身体の姿勢は身を屈めていて、少し卑屈なモノにも感じる。また、暖をとるには、それ以外の方法がない訳ではない。貧乏くささが感じられない訳ではない。
そこから沸き起こる、自己へのささやかな拒否感、嫌悪感を詠んだ歌なのだろう。
但し、ここで注意すべきは結句「あさましき」である。形容詞シク活用連体形のこれは、現代文に於ける"あさましい"とは少し、意味が違う [こちら等を参照の事]。ここでは最も無難な表現に解したが、もっと相応しいモノがあるのかもしれない。
(この項:たい)
posted =oyo= : 17:18 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)
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