2020年01月16日
枕草子ニ詠メル
夙めてと 云ふがをかしと 憶はれど 裳ぬけのきみに 夢のはのこり香
るい詠める
<読み>
つとめてと いうがおかしと おもわれど もぬけのきみに ゆめはのこりが
<意味>
[冬は] 早朝であると謂うのが趣きがあると記憶しているが、 [もう既に起床してしまって] もぬけの殻となっているあなた [の寝た痕跡と] 夢の残り香があるのが、実際である。
<解説>
詞書にある様に、この歌の基となっているのは、清少納言 (Sei Shonagon) の随筆集『枕草子 (The Pillow Book)』その第1段 (Chapter 1)、「冬はつとめて (In Winter The Early Mornings)」である。そこに綴られているのは、当時の冬の王宮での朝の叙景である。個人的には、その段に綴られている他の3季、春や夏や秋よりも遥かに格調が高いモノの様に思われる。
それに比較して、作者自身が迎える冬の朝は .... と謂うのがこの歌である。そして自身の感興は、下の句にある描写をもって推し量られる。恋人はもうそこにはいない、その夜に観た夢の記憶だけがある、と謂う様なモノだ。もしかすると、恋人の存在すらも夢なのかもしれないが、そこまで深く読む必要もないだろう。
(この項:たい)
posted =oyo= : 17:18 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)
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