2020年11月05日
ムカシ語リヲ読ミテ詠メル
ひを熾し 野辺のふたりと み送りて じやう仏せぬは 吾がのみが想ひ
るい詠める
<読み>
ひをおこし のべのふたりと みおくりて じょうぶつせぬは あがのみがおもい
<意味>
火をおこして、野辺ゆくふたりと見送って、成仏しないのはわたしの想いだけである。
<解説>
葬儀の情景。だが、その解釈はふたとおりありそうだ。
それは第2句及び第3句の理解による。
"野辺"と謂う語句の本来の意味は、野原のことである。それが"野辺の送り"と謂う慣用句では、死者の葬送と謂う意味、そしてそこから転じて葬儀そのものを指す。だから、その箇所は読み方によっては、第2句「ふたり」を葬儀に参列する同行者2人と解釈する事も出来ようし、その一方で、彼等そのものが死者である - その死因は不慮の事故なのかそれとも伝染病等による疾病なのかさもなければ心中なのか - と解釈する事も出来よう。
但し、いずれにしても、その「ふたり」が構築する関係性のなかに、作者のいる場所はない [詞書を読めば、それが虚構もしくは過去の情景であり、ここで詠まれている感興は作者のモノと謂うよりは、その登場人物のひとりに仮託したモノと思われる]。
(この項:たい)
posted =oyo= : 17:16 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)
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