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2021年06月10日

怪談ニ詠メル

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闇のうへ ふりさけみれば 想ひびと 頬にうけたり 塊りのあか

るい詠める

<読み>
やみのうえ ふりさけみれば おもいびと ほほにうけたり かたまりのあか

<意味>
闇に閉ざされた上部を振り返ってみるとそこにいるのは、恋しいヒトである。 [そこからおちたモノを] 頬にうけた。あかい塊である。

<解説>
第2句「ふりさけみれば」から、この歌が宝井其角 (Takarai Kikaku)の俳句『鮟鱇をふりさけ見れば厨かな (The Angler, Looking Back And Up, The Kitchen Where I'm Here.)』 [『五元集拾遺 (Gogenshu-shui)』掲載 1747年刊行] の本歌取りであると解る。否、むしろその句を掲げた、月岡芳年 (Yoshitoshi Tsukioka) の無惨絵『奥州安達がはらひとつ家の図 (The Lonely House On Adachi Moor)』 [1885年発表] からの引用であるのかもしれない。
それを念頭におけば、結句「塊りのあか」は、どう読んでも肉塊、第3句「想ひびと」の身体の一部である様に思える。詞書もそれを補足するに充分である。
[無論、結句「あか」を垢と解釈して、「想ひびと」の身体の汚れと看做す事も出来ないではないし、宝井其角 (Takarai Kikaku) の排風に準じたモノになり得るのかもしれないが、所詮は無理矢理な解釈である。]
ちなみに、上の歌をそのまま映像化した様なエンディングを迎える作品に、映画『殺戮謝肉祭 / 屍肉の晩餐 (Les Raisins de La Mort )』 [ジャン・ローラン (Jean Rollin) 監督作品 1978年制作] がある。

(この項:たい)

posted =oyo= : 17:21 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)

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