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2023年03月23日

春幻ヲ詠メル

20230323.jpg
墓所こへて 何処にむかふ さくら坂 くだり降りて をんな陽炎ふ

るい詠める

<読み>
ぼしょこえて いずこにむかう さくらざか くだりくだりて おんなかげろう

<意味>
墓所を越えていくとどこへ向かうのであろうか、桜の散る坂を下って降りていく女性が朧ろにみえる。

<解説>
(Cherry Blossom) の季節である。生の息吹と同時に死の影があやしくさす。敢えて小説『桜の森の満開の下 (In The Forest, Under Cherries In Full Bloom)』 [坂口安吾 (Ango Sakaguchi) 作 1947年発表] を挙げるまでもない。冬のあいだ、ひた隠しにされたモノがあきらかとなる、それだけの事だ。
と、思ってしまうのは単純に、初句「墓所」と謂う語句があるからだ。結句「をんな」が人智を超えた存在、もしくは初句「墓所」から抜け出した存在の様にどうしても読めてしまう。
だが、それさえなければ、この時季特有の、空気感を詠んだ歌なのである。
第3句「桜坂」を<意味>では、桜が舞い散る場所と解したが、もしかするとその固有の名称を持つ場所を持つ場所なのかもしれない。
また結句「をんな陽炎ふ」を雌の陽炎 (Mayfly) と解釈出来ない訳でもないだろう。

(この項:たい)

posted =oyo= : 17:23 | comment (0) | trackBack (0) | るいの歌集(仮)

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